2017年9月、京都市北部でフィンランド製のログハウス別荘を建てていた時の話です。
現場に向かう周山街道が1週間以上、通行止めになってしまったのです。原因は、周囲に立ち並ぶ、北山杉が大型台風の影響でたくさん倒れてしまったことでした。北山杉といえば、川端康成の小説『古都』でもよく知られ、銘木として600年もの歴史があります。
ところが、近年は床(とこ)のない住宅が多くなり、銘木が床柱に使われなくなりました。また、輸入材木の方が安いというだけで、構造材も外材ばかりが使われるようになりました。手入れをする意味も必要もなくなりました。その結果が、山林の放置です。現山主の先代が子孫のためにと50年程前に植林し、まっすぐに大きく成長した北山杉が使われることなく、ただそこに立っているだけになってしまったのです。
日本の材木がもっと使われるようになれば、枝打ちや間伐など手入れがされます。山の手入れがされれば、台風が来ても、あれほどの倒木は起きなかったのではないだろうかと考えました。
当社のような輸入住宅を専門にしている会社が、日本林業衰退の原因の一つになっているのではないかと、遅まきながら気づきました。この時点から輸入材木でログハウスを施工することを止め、国内スギを加工してキャンピングドームを作ることにしました。
国内で育った木は四季を乗り越え、この風土に適応する能力を備えています。キャンピングドームのログ材は、京都産スギに燻煙(くんえん)熱処理を施しており、頑丈で優れた耐久性を保持しています。コンパクトながら、木の恩恵を最大限に感じていただける設計であり、自信をもっておすすめできる製品です。